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山口 義仁; 真野 晃宏; Li, Y.
Transactions of the 27th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT 27) (Internet), 10 Pages, 2024/03
加圧水型原子炉の重要機器の構成要素である蒸気発生器(SG)伝熱管では、経年劣化による局部減肉が報告されている。確率論的リスク評価やリスク情報を活用した意思決定に資するため、減肉の存在が確認された場合の伝熱管の破損確率の増加を評価する必要がある。また、SG伝熱管の破損確率を計算するためには、減肉を有する伝熱管の破裂圧力を評価する手法が必要である。本研究では、国内及び米国の破裂試験結果に基づき、減肉を有するSG伝熱管を対象とした既存の破裂圧力評価手法を改良し、精度の向上を図った。また、改良した破裂圧力評価手法を用いて減肉寸法を変えながら、通常運転から過渡条件における破損確率を算出し、減肉寸法と破損確率の関係を定量的に求めた。本論文では、上記破裂圧力評価手法の改良及び改良した破裂圧力評価手法を用いて算出した破損確率について報告する。
山口 義仁; 真野 晃宏; Li, Y.
Proceedings of ASME 2022 Pressure Vessels and Piping Conference (PVP 2022) (Internet), 10 Pages, 2022/07
蒸気発生器(SG)伝熱管は、加圧水型原子炉の重要な機器の一つである。SG伝熱管では、減肉や応力腐食割れなどの検出が報告されている。SG伝熱管の構造健全性を評価するためには、一次冷却系からの内圧と二次冷却系からの外圧の両方を考慮して破裂による破壊を評価する必要がある。そこで、様々な機関においてSG伝熱管を対象とした破裂試験が実施され、それに基づき破壊評価法が提案されている。本研究では、減肉又は亀裂を有するSG伝熱管を対象に、既存の破裂試験データを調査し、それを踏まえて、亀裂又は局所的な減肉を有するSG伝熱管に適した破壊評価法を新たに提案した。また、これらの破壊評価法の適用性を、予測結果と実機SG伝熱管の破裂試験データを比較することにより確認した。
内堀 昭寛; 柳沢 秀樹*; 高田 孝; 大島 宏之
日本機械学会論文集(インターネット), 86(883), p.19-00353_1 - 19-00353_6, 2020/03
ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器において、伝熱管破損時のナトリウム-水反応現象の影響による破損伝播の発生有無と水リーク率を評価することが重要な課題となっている。既往研究において、事象が終息するまでの長時間事象進展におけるウェステージ型破損伝播を評価対象とする解析手法が開発された。本研究では、ウェステージ型破損伝播に加え高温ラプチャ型破損伝播を評価対象に含めるため、これに対応する解析モデルを開発、追加した。ナトリウム-水反応試験を対象とした解析を実施し、解析手法の妥当性を確認した。
梅田 良太; 栗原 成計; 下山 一仁
JAEA-Technology 2016-030, 50 Pages, 2016/12
ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器において伝熱管が貫通破損した場合、高温・高速かつ高アルカリ雰囲気の反応ジェットが生成される(ナトリウム-水反応)。反応ジェットが隣接する伝熱管全体を覆うと、伝熱管の高温化によって機械的強度が低下し、伝熱管内圧で膨出破損に至ることがある(高温ラプチャ)。高温ラプチャの評価では、伝熱管温度に相当する伝熱管材料のクリープ強度を材料強度の基準値(破損クライテリア)としており、内圧による管壁のフープ応力と当該破損クライテリアを比較することで破損を判断する。このため、高温ラプチャ現象を模擬した伝熱管破損実験から得られる知見を踏まえて、破損クライテリアの妥当性を確認することが非常に重要である。本報告書では、原子力機構が所有する伝熱管破損模擬試験装置(TRUST-2)を用いて、高クロム系鋼の細径伝熱管の単管試験体及び密着型の二重試験体を対象に、最高1500Kまでの超高温条件で内圧加圧型の急速加熱伝熱管ラプチャ実験を行い、破損形態や破損強度特性などを明らかにするとともに、破損クライテリアの妥当性を検討した。
大場 敏弘; 柳原 隆夫; 加藤 千明; 浜田 省三
JAERI-Tech 2001-059, 36 Pages, 2001/09
原研では、文部科学省からの受託研究として「再処理施設新材料耐食安全性実証試験」を実施してきた。この試験においては、六ヶ所再処理施設の主要機器の一つである酸回収蒸発缶の小型モックアップ試験体を用いた実証試験を進めてきた。この試験体の一部である伝熱管及び短い管材を用いた実験室規模の伝熱面腐食試験片に対して、それらの内表面の腐食減肉を知るために、伝熱管の肉厚を非破壊・高精度で測定できる超音波式肉厚自動測定装置を製作した。この装置は、超音波測定器にパソコン制御方式を組合わせることにより自動的に肉厚を測定・記録できるものである。製作した装置で得られた肉厚の値は、光学顕微鏡で測定した肉厚と非常に良い一致を示し、本装置の測定精度のよいことが確認された。
斉藤 和男*; 石田 紀久
JAERI-Tech 2001-039, 25 Pages, 2001/06
大型船舶用原子炉MRX及び深海調査船用原子炉DRXにおいては、蒸気発生器を原子炉容器に内装する一体型構造を採用している。蒸気発生器はヘリカルコイル貫流型であり、多数のコイル(伝熱管)が、炉心を内包する原子炉容器内筒を取り巻くようにアニュラー空間内に設置されている。この伝熱管の管外流及び管内流により発生すると予想される流力振動を簡易計算により評価し、支持点ピッチの妥当性を検討した。
槇 彰; 佐本 寛孝; 田口 克也; 佐藤 武彦; 清水 亮; 庄司 賢二; 中山 治郎
JNC TN8410 2001-012, 185 Pages, 2001/04
本資料は、平成13年3月14日に日本原燃(株)六ヶ所事務所にて開催した「第三回東海再処理施設技術報告会」の予稿集、OHP、アンケート結果を報告会資料としてまとめたものである。東海再処理施設技術報告会は、これまでに2回開催されており、第一回は「東海再処理施設の現状、今後の計画」について、第二回は「東海再処理施設の安全性確認作業」について、東海再処理施設においてこれまでに得られた技術・知見等を紹介してきた。今回第三回は、「東海再処理施設の腐食・ISIに関する実績と今後の計画」について東海再処理施設においてこれまでに得られた技術・知見等の報告を行ったものである。
土井 正充; 木内 清; 矢野 昌也*; 関山 喜雄*
JAERI-Research 2001-020, 17 Pages, 2001/03
再処理施設の酸回収蒸発缶等を想定して、伝熱面腐食を支配する硝酸側環境因子の基礎解析を行った。現用鋼である、R-SUS3304ULCを用いて、溶液中のV濃度、熱流速の伝熱面腐食に与える影響を調べるとともに、金属組織制御により粒界腐食を抑制したステンレス鋼及び防食造膜元素を複合添加したNi基合金の耐食性についても調査した。
加藤 章一; 吉田 英一; 青砥 紀身
JNC TN9400 2000-042, 112 Pages, 2000/03
FBR蒸気発生器の伝熱管破損に起因する隣接伝熱管への破損メカニズムのひとつとして、ナトリウム-水反応により急速に伝熱管壁が加熱され破断に至るいわゆる高温ラプチャ現象が考えられる。本研究では、改良9Cr-1Mo鋼に関する高温ラプチャ評価の基礎データとして反映するため、超高温領域における引張及びクリープ試験を実施した。引張試験におけるひずみ速度は10%/min10%/sec、クリープ破断時間は最長277secである。また、試験温度は7001300である。本試験において得られた結果を要約すると、以下のとおりである。(1)改良9Cr-1Mo鋼について、ひずみ速度と引張強度との関係及び数分以内の極端時間のクリープ破断強度に関する評価データを取得した。(2)上記取得データに基づき、Mod.9Cr-1Mo鋼伝熱管の構造健全性評価に必要なクリープ破断式を提案した。(3)改良9Cr-1Mo鋼の超高温域における引張強度及びクリープ強度は、「もんじゅ」伝熱管材料の2・1/4Cr-1Mo鋼よりも高い値を示し、優れた強度特性を有していることがわかった。
白川 典幸*; 堀江 英樹*; 山本 雄一*; 松宮 壽人*
JNC TJ9440 2000-008, 47 Pages, 2000/03
伝熱流動数値実験によって、化学反応を伴う伝熱流動が高速炉を構成する機器に及ぼす影響を評価するには、反応の発生箇所近傍だけでなく機器全体を解析対象とする必要がある。そのため、計算負荷の観点から微視的な解析手法を直接用いることができない。このため、使用する熱流動解析コードには、化学反応によって生じる多相・多成分の反応性流体の挙動をモデル化し、相関式として組み込まなければならない。反応性流体の化学反応の量は反応する相間の境界面積に依存し、この面積は界面の形状によって大きく変化する。しかし、ナトリウム-水反応のように化学反応を伴う系については、これに関する実験的知見もないのが現状である。そこで本件では、微視的解析手法である粒子法を用いて、多相・多成分・反応性流体の挙動を機構論的に解析し、流動様式や境界面積に関する知見を得ることを最終的な目的とする。本年度は、粒子法を用いて水・ナトリウム反応を扱うための第一段階として、液体ジェットが他の液体プールに噴出する際の流体力学的挙動への粒子法の適用性を検討することを目的とした。このため、文献調査によりジェット流動様式のメカニズムを検討するとともに、ここでの目的に合致する、「ガソリンプールに水を噴出させる実験」を選び、解析した。また、蒸気発生器内部の伝熱管水リーク事故では管群内のジェット流を解析する。このような複雑体系への本手法の適用性を検討するため、蒸気発生器安全性総合試験(SWAT/Run19試験)を例として化学反応を含まない流体力学のみの予備解析を実施した。その結果、伝熱管群を含む複雑体系においても、高速ジェット流とプール流体との相互作用を考慮した流動挙動への適用性が確認できた。さらに、今後扱うべき現象のモデリングについて検討し、相変化と化学反応経路を選定し定式化を行った。水の相変化は伝熱律速モデルに基づき、化学反応は水・水素転換率をパラメタとした一括反応モデルに基づいている。また、コード構成についても概念設計を行った。
日高 昭秀; 浅香 英明; 上野 信吾*; 吉野 丈人*; 杉本 純
JAERI-Research 99-067, p.55 - 0, 1999/12
2次系減圧を伴うPWR電源喪失事故時に炉心が昇温すると、温度上昇に起因して蒸気発生器伝熱管が破損する可能性がある。米国NRCの解析は、その場合でも、サージラインが先に破損することを示したが、沈着したFPからの崩壊熱を考慮していない。そこで、その影響を調べるため、まず、米国NRCの解析で使用したホットレグ水平対向流モデルを原研のLSTF実験で検証した後、Surry炉を対象としてSCDAP/RELAP5コードを用いた解析を行った。FP沈着量と崩壊熱は原研のARTコードを用いて別途計算した。その崩壊熱を熱応答計算で考慮した場合、伝熱管の健全性はかろうじて確保された。しかしながら、種々の不確実性を考慮すると、伝熱管が最初に破損する可能性を排除できない。このことは、2次系減圧に関するアクシデントマネジメント方策の得失を評価するうえで考慮しておく必要がある。
篠崎 正幸; 和田 茂行*; 古澤 孝之
JAERI-Tech 99-064, 46 Pages, 1999/08
高温工学試験研究炉(HTTR)の1次加圧水冷却器伝熱管の供用期間中検査(ISI)装置の開発を行った。この供用期間中検査装置は渦流探傷触子、超音波探傷触子、プッシャー及びマニピュレータロボット等から構成されている。1次加圧水冷却器の伝熱管のモックアップ装置を用いて、今回開発したISI装置の作動確認を行った。本報告書では、供用期間中検査装置のシステム構成、探傷触子のR&D結果、本装置の作動試験結果を報告する。
浜田 広次; 田辺 裕美*; 和田 雄作*; 宮川 明*; 広井 博*
PNC TN9410 98-029, 122 Pages, 1998/05
高速炉蒸気発生器伝熱管の高温ラプチャに対する健全性評価のため、動燃では次の研究を進めてきた。1)超高温材料データの取得と構造健全性評価法の整備2と1/4Cr-1Mo鋼の高温(7001200)クリープ試験データを取得し、高温、短時間破裂である高温ラプチャ特性を踏まえて時間依存のクリープ破断評価法に基づく材料基準値を策定した。また伝熱管破損模擬試験(TRUST-2)により本評価法を検証した。2)ブローダウン時の減圧特性を含む伝熱管内流動解析手法の整備本ブローダウン解析に使用するBLOOPHと汎用コードであるRELAP-5とで実機ブローダウン解析結果の比較を行い、両者が良好な一致を示すことを確認した。また、ナトリウム-水反応時の入熱を考慮した管内蒸気流モデルを開発した。3)ナトリウム-水反応試験データに基づく定量的な検証過去のナトリウム-水反応試験データから保守的に求めた反応域温度と管外熱伝達率を用いてSWAT-3試験及び米国LLTR試験の解析を行い、クリープ破断モードよりも延性破断モードが早期に現われること、破断時間は実際の試験結果よりもかなり短時間の保守的な結果となることを示した。これらの結果を踏まえて、PFR大リーク事故及び高速増殖原型炉「もんじゅ」蒸気発生器伝熱管破損の再評価を行った。主な結果は、以下のとおり。1.1987年の英国PFRの事故が多数の伝熱管破損に至った最大の原因は、事故当時過熱器に高速減圧系が設置されていなかったためであることが、上記評価法を適用して定量的に示された。2.以上の検証解析結果を踏まえて選定した保守的なパラメータを用いて、「もんじゅ」条件での100%、40%、10%の各定常運転から水ブローまでの解析を行い、いずれの場合も高温ラプチャが発生する条件に至らないことを確認した。3.管束部中下部ではブロー途中に伝熱管内部流量が低下するため、安全裕度が相対的に小さくなるが、蒸気ブロー弁の増設による水ブローの高速化が裕度拡大方策として有効であることを示した。
福田 敬則*; 大嶋 巌*; 大田 裕之; 村山 志郎*; 中村 武則*; 伊藤 健司
PNC TJ2164 97-004, 38 Pages, 1997/10
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永井 桂一; 荒 邦章; 軍司 稔
PNC TN9410 97-087, 142 Pages, 1997/07
高速原型炉「もんじゅ」の蒸気発生器(SG)伝熱管の渦電流探傷(ECT)による供用期間中検査(ISI)では、検査データの評価作業の迅速化や効率化及び容易化を図るために、計算機を用いたオフラインデータ解析処理を計画している。このオフラインデータ解析処理は、検査信号の位相と振幅をもとに設定したベクトルウィンドウと呼ばれる信号パターンに比較させ、一定の条件に当てはめることによって検査信号の分類や欠陥信号の識別を行うものであり、検査信号を精度良く分類することが要求される。このため、解析ソフトの倫理演算条件をパラメーターとした解析を行い、分類精度が最も良好となる条件を設定した。また、実機の探傷データを用いた解析も行い、設定した条件の有効性の検証や実機探傷データの整備構築を図った。主な成果は以下の通りである。(1)オフライン解析処理条件の設定支持板部についてはほぼ全数の支持板信号の自動分類が可能な条件を設定することができ、溶接部とベンド部については、自動分類可能な信号の数が最も多くなる倫理演算条件を設定することができた。(2)解析処理条件の検証「もんじゅ」の供用前検査(PSI)データ用に設定した解析条件は、信号発生要因の総数に対し約8085%の要因数をオフライン解析処理によって自動分類可能であり、手動解析機能との併用によって全ての信号発生要因を分類することが可能であった。また、設定した解析条件は、実機のISIデータの解析評価に充分適用できる見通しを得た。(3)データベースの整備「もんじゅ」SG伝熱管のPSIデータを対象に、設定した条件を用いて解析処理を行った結果、ISI時の信号評価を行う上で基本となる信号発生要因とその発生位置及び信号波形等の基礎データを整備構築することができた。
二川 正敏; 内匠 秀樹*; 高田 昌二; 宮本 喜晟
Nuclear Technology, 118(1), p.83 - 88, 1997/04
被引用回数:1 パーセンタイル:14.48(Nuclear Science & Technology)ヘリカルコイル型伝熱管群を有する中間熱交換器IHXの地震時の振動挙動は、センターパイプと伝熱管群との相互作用により複雑となることが考えられる。そこで、IHXの部分モデルを制作し、大型振動台による耐震試験を実施した。これにより、共振時には伝熱管群はセンターパイプとほぼ一体となった振動挙動を示すことが明らかとなった。さらに、伝熱管群をセンターパイプの付加質量として取り扱った簡易モデルによる解析結果を試験結果と比較した。その結果、簡易モデルはIHXの共振特性を表すために有効であるこが分った。
渡辺 勝利; 新藤 雅美; 中島 甫; 小池上 一*; 樋口 洵*; 仲西 恒雄*; 佐平 健彰*; 丸七 香樹*; 竹入 俊樹*; 斉藤 貞一郎*; et al.
JAERI-Research 97-009, 62 Pages, 1997/02
HTTR実機用ハステロイXR伝熱管材および実機用溶加材を用いて、伝熱管母材および溶接継手の引張特性およびクリープ特性を検討し、次のような結果を得た。引張特性に関しては、時効後の室温における強度変化は母材および溶接継手材ともに比較的少なかったが、著しい延性低下が両者ともに観測された。一方、クリープ特性に関しては、母材と溶接継手材について、900Cおよび950Cのいずれの場合にも、クリープ破断強度に関する差異は比較的少なかった。他方、板材と伝熱管材のクリープ特性について見ると、母材および溶接継手材ともに、管材は低応力・長時間側で板材よりもクリープ破断時間が若干低下する傾向が見られたが、管材のクリープ破断時間は、ハステロイXR母材のマスターカーブと同等以上であり、設計破断応力強さ[S]よりも充分に長いことから、実用上は特に問題ないと判断される。
海老根 典也; 竹内 信次郎*; 荒 克之
Electromagnetic Nondestructive Evalution, 0, p.223 - 230, 1997/00
渦電流探傷法はPWRのSG伝熱細管の検査に使用されているが、円周方向の傷に対して感度が低いことが問題とされ、いくつかの機関で問題解決のための研究開発が行われている。筆者らは、平行四辺形型の励振コイルとその周辺に信号検出用の差動コイル群を配置した新しい渦電流探傷プローブを提案し、その開発試験を進めている。平行四辺形の斜めに走る側辺部では斜め方向の渦電流が形成されるため、円周方向およびタテ方向の傷のいずれに対しても感応し、かつ傷検出に対する空間的な死角を有さない。試作試験の結果、円周方向及びタテ方向傷に対して共に検出感度を有し、また直径0.5mmの微小傷に対しても十分な検出感度を有することがわかった。また、励振周波数を20kHz程度に低くすることで、外面傷に対しても検出感度を有することがわかった。
大音 明洋*; 唐沢 博一*; 青木 俊夫*; 渡部 一郎*; 塩田 達也*; 秋田 晴夫*
PNC TJ9164 96-023, 1167 Pages, 1996/07
蒸気発生器(SG)伝熱管の設計基準水リーク(DBL:Design Basis Leak)評価手法の整備とその妥当性を,水リーク時のナトリウム┼水反応事象を模擬した総合的な試験により確認するため,既説のSWAT-3の改造内容に関し,詳細設計を行い,以下の結果を得た。(1)試験内容・条件の確認平成6年度に設定した試験項目,内容,計装等の試験計画を確認するとともに,試験条件・試験方法の見直しを行った。また,SWAT-3試験装置の構造健全性を確認するために,圧力と温度に着目したNa┼水反応準定常圧解析を実施し,構造健全性上問題ないことを確認した。また,改造SWAT-3を用いた多本数破断試験(BDBL)時の許容注水量及びその時の試験条件を確認した。(2)試験ループの確認主循環系(Na配管),純化系等の対象とする角配管系の設計条件,材質及び寸法設定の根拠を明確にするとともにSWAT-3全体系統図の作成を行った。試験ループの検討では,DBLの妥当性確認試験,接液型ラプチャ試験及び今後のBDBL試験を考慮した試験ループの考え方をまとめ,さらに注水管及び隣接管の注水方法,注水ノズル方向及び伝熱管配列の項目に対する試験方法の見直し検討を実施した。制御特性解析については,放出系の弁開閉に伴う圧力制御特性解析及び水注入系の弁開度,圧力設定条件をパラメータとして注水管・隣接管流量制御特性解析を実施し,良好な制御特性が得られることを確認した。また,音響検出系の検討では,パッシブ法及びアクティブ法の開発にあたって必要となるそれぞれの評価項目に対してSWAT-3試験において実施すべき内容をまとめ,音響検出計試験ケースの検討を実施した。また,パッシブ法及びアクティブ法のデータ採取に対する検出器の具体的設置について検討を実施した。さらに,計測システム構成の検討の結果,システムへの要求事項を満足させる高速ディジタル信号処理システムを採用することが非常に有効であることがわかった。(3)機器等の設計反応容器,配管等について構造解析条件及び耐震解析条件の検討を行い,それに基づき,応力解析及び耐震解析を実施し,構造健全性上問題ないことを確認した。反応容器,水加熱器等の機器について,計装品取付計画,組立手順計画,輸送治具計画及び据付手順計画等の検討を実施した。また,これらの機器・配管の製作に係わる試験検査項目を
浜田 広次; 田辺 裕美
PNC TN9410 96-027, 41 Pages, 1995/12
FBR蒸気発生器(SG)で水リークによるナトリウム-水反応ジェットが生じると、隣接伝熱管が急速に高温状態に曝される。このような条件下でも、管壁の機械的強度の低下による高温ラプチャが生じないことを確認することが安全上重要である。高温ラプチャ評価手法を確立するため、これまで構造解析コードFINASによる解析モデルを使用し、模擬試験データによる検証を行ってきた。今回は英国PFRの過熱器を対象として、1987年の大リーク事故解析を行った。事故当時の低速ブロー系設置体系においては、反応ジェットに曝された隣接管に過熱器隔離後3秒で解析上の高温ラプチャが生じており、実際の事故シナリオと非常に良好な一致が得られたことから、採用した高温ラプチャ解析モデルの妥当性を確認できた。また高速ブロー系設置体系を想定した比較解析からは、伝熱管やナトリウム側の条件が同じでも、過熱器隔離後の蒸気ブローによる急速な減圧及び管内冷却効果の存在により隣接管に高温ラプチャは生じないことが確認された。以上の解析結果は、PFRで見られた大リークへの進展が過熱器の設計・運転の違いに起因して生じたものであったことを示しており、これらの知見からは、SGの設計はもちろん水/蒸気系の隔離及びブローといったリーク後の運転操作も高温ラプチャを回避する観点から極めて重要であることが推測できる。実証炉以降の大型炉SGの設計においては、水リーク後の最適な蒸気ブローの設計・運転法を見いだす必要があり、本報で開発した高温ラプチャ解析手法は、その設計評価にも充分反映できるものであると考える。